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東京高等裁判所 平成11年(ネ)385号 判決 1999年3月30日

東京都三鷹市中原一丁目一番六号

控訴人

カミパレス株式会社

代表者代表取締役

中村驥

訴訟代理人弁護士

雨宮眞也

小幡葉子

板垣眞一

本山健

東京都新宿区西新宿一丁目三番三号

榎本ビル五階

被控訴人

巖商事株式会社

代表者代表取締役

松本巖

名訴訟代理人弁護士

高野長英

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  控訴人が求める裁判

「1 原判決を取り消す。

2 被控訴人は、その経営にかかるカラオケ施設の看板、ポスター、掲示板、旗、のぼり、たれ幕、領収書、チラシに、別紙被控訴人標章目録イ、ロ、ニ、ホ及びへ記載の各標章を使用してはならない。

3 被控訴人は、被控訴人本店及び別紙店舗目録一ないし三記載の店舗に存在する看板、ポスター、掲示板、旗、のぼり、たれ幕、領収書、チラシから別紙被控訴人標章目録イ及びロの各標章を抹消せよ。

4 被控訴人は、被控訴人本店及び別紙店舗目録四及び五記載の店舗に存在する看板、ポスター、掲示板、旗、のぼり、たれ幕、領収書、チラシから別紙被控訴人標章目録ニ、ホ及びへの各標章を抹消せよ。

5 被控訴人は、控訴人に対し、二億八六五四万一三六六円及びこれに対する平成一〇年三月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

6 訴訟費用は第一、第二審とも被控訴人の負担とする。」

との判決

第二  当事者の主張

左記のとおり付加するほか、原判決摘示(四頁四行ないし三三頁一〇行)のとおりであるから、これを引用する。

一  控訴人の主張

1  原判決は、被控訴人標章イは控訴人登録商標あるいは控訴人標章一と類似しない旨判断している。

しかしながら、控訴人登録商標は、平成二年八月以来使用されて周知となっている商標であるが、カラオケ施設の利用者の間ではもっぱら「ドレミファ」と略称されているから、控訴人登録商標は「ドレミファ」の称呼を生ずる。同様に、控訴人標章一も「ドレミファ」の称呼を生ずる。

一方、被控訴人標章イをそのまま発音すると冗長であるから、「エムケイエス」あるいは「ドレミファカン」等と発音されるが、そのうち最も親しみやすい「ドレミファ」の部分を取り出して発音されることが多いと考えられる。したがって、被控訴人標章イは「ドレミファ」の称呼を生ずる。

そうすると、控訴人登録商標及び控訴人標章一と被控訴人標章イとは、称呼において共通し、類似であるから、原判決の前記判断は誤りである。

2  原判決は、被控訴人標章ロは控訴人登録商標あるいは控訴人標章二と類似しない旨判断している。

しかしながら、控訴人登録商標が「ドレミファ」の称呼を生ずることは前記のとおりである。また、控訴人標章二も、同様に「ドレミファ」の称呼を生ずるというべきである。

一方、被控訴人標章ロが「ドレミファ」の称呼を生ずることは、被控訴人標章イと同様と考えられる。

そうすると、控訴人登録商標及び控訴人標章二と、被控訴人標章ロとは、称呼において共通し、類似であるから、原判決の前記判断も誤りである。

二  被控訴人の主張

控訴人登録商標、控訴人標章一及び控訴人標章二は「ドレミファ」の称呼を生じない。また、被控訴人標章イ及び被控訴人標章ロも「ドレミファ」の称呼を生じない。この点に関する原判決の判断は正当であって、原判決を取り消すべき理由はない。

理由

一  当裁判所も、控訴人の被控訴人に対する請求は、全部棄却すべきものと判断する。その理由は、原判決説示(三四頁一行ないし五六頁六行)のとおりであるから、これを引用する。

二  控訴人は、控訴人登録商標、控訴人標章一及び控訴人標章二は、いずれも「ドレミファ」の称呼を生ずる旨主張する。

しかしながら、「ドレミファ」は、音階を意味する極めて卑近な言葉であるから、特定の者の業務に係る役務、特に音楽に関連する役務を指称する標章としては不適切であると考えざるをえない。その半面において、控訴人登録商標、控訴人標章一及び控訴人標章二は、文字どおりに「ドレミファクラブ」あるいは「ドレミファ・クラブ」と発音することに何の困難もなく、また、発音者にとって冗長と感じられることもないと考えられる。このように、控訴人登録商標、控訴人標章一及び控訴人標章二をあえて「ドレミファ」と略称する必然性は全く認められないから、これらが「ドレミファ」の称呼を生ずることはないと解するのが相当である。

この点について、控訴人は、控訴人登録商標は、平成二年八月以来使用されて周知となっている商標であるが、カラオケ施設の利用者の間ではもっぱら「ドレミファ」と略称されている旨主張する。しかしながら、カラオケ施設の提供という役務の実際において、右のような事実があることを認めるに足りる証拠は存在しない。また、当事者双方の役務について、称呼上、営業主体の混同が生じていることを窺わせるような証拠も存在しない。

そうすると、控訴人登録商標、控訴人標章一及び控訴人標章二が「ドレミファ」の称呼を生ずることを前提とする控訴人の主張は、その余の点について論ずるまでもなく、失当である。

三  以上のとおり、控訴人の本件控訴は、理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法六七条、六一条の各規定を適用して、主文のとおり判決する。

(口頭弁論終結日 平成一一年二月二三日)

(裁判長裁判官 清永利亮 裁判官 春日民雄 裁判官 宍戸充)

別紙

被控訴人標章目録

<省略>

別紙

店舗目録

一 中央区日本橋大伝馬町一番一〇号 mksドレミファ館日本橋小伝馬町店

二 千代田区神田小川町三丁目九番四号 mksドレミファ館神田小川町店

三 新宿区馬場下町六一番四号 mksドレミファ館早稲田店

四 墨田区江東橋四丁目三〇番一号 mksドレミファクラブ錦糸町店

五 中央区八丁堀四丁目九番九号 mksドレミファクラブ八丁堀店

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